2021.12.25

Final Entry: Looking back the year 2021

Merry Christmas!

さて、RAKSULのアドベントカレンダーも最終日を迎えましたが、運営チームから締めを仰せつかりましたので、微力ながら2021年の振り返りという形で、今年取り組んだことを話しながら今後テック集団として我々がどこにいて、どこへ向かいたいのか?そのあたりを少し共有できればと思います。

2021年の振り返り

気づけばもうRAKSULに入社してから7年目。歳のせいか1年が年々短く感じるようになってきて、今年もあっという間に過ぎ去ってしまいましたが、世の中も、RAKSULも様々なことが起きました。

年始はコロナ真っ只中からの出発。春からようやく日本でもワクチン接種が始まり、夏には1年遅れで東京オリンピック・パラリンピックも無事に開催されました。秋には、デジタル庁始動、新内閣の発足など政府の動きが目立ち、年末に差し掛かるとようやく収束しかけたと思ったコロナもオミクロン株で再燃。

経済でいえば、圧縮された需要が一気に開放され過去最高益を記録するほど回復路線に乗れたトヨタのような企業もあれば、飲食やツーリズムなど相変わらず厳しい状況が続くセクターもあり、昨年に続き環境変化に適応できたところとそうでないところで二分化がさらに進んだように思えます。

せっかく需要が回復傾向にあるセクターにおいても「半導体不足」に代表されるようにサプライチェーンの回復の遅れが起きたり、それを支える貿易・物流インフラが春先の「スエズ運河封鎖事故」に足を引っ張られたりと、なかなか思うように回復が進まず、もどかしい状況が続いてます。

資本市場も「サステナビリティー」が大きなテーマとなり様々な動きがありました。11月に英国グラスゴーで開催されたCOP26では、これ以上先送りできない温暖化に歯止めを効かせるため、CO2の排出に対して一層厳しい達成目標が敷かれ、火力発電の抑制や、化石燃料を主としたビジネスも大きくシフトせざるを得ない状況となりました。

行き過ぎた資本主義が招いた諸問題の張本人とも言える投資銀行やフィナンシャルセクター全体が、急に手を返したようにグリーンな企業広告を連発しているのを見ると、非常に皮肉だなと思いつつ、これを糧に新しい勝機を見出しているアントレプレナーを見ると、これも人類の進歩の通過点だと割り切って、ポジティブに頭を働かせることのほうが重要なんだろうと思ったりしてます、(苦笑)

そんな中、RAKSULも様々な経済変化に揉まれつつも高い成長率を堅持し、売上高で30.4%、売上総利益で前年比29.5%増という好成績で第1四半期を終えました。

(参考:https://ssl4.eir-parts.net/doc/4384/ir_material_for_fiscal_ym/110767/00.pdf

昨年資本参加したダンボールワンへの技術投資が始まり、アカウント連携などの共同機能開発や、RAKSULのエンジニアが出向して検索機能のオプティマイゼーションの開発を推進したり、ペライチの社外取締役にハコベルのシステム開発部長/VPoEが就任するなど、グループ企業との協業・参画も本格化してきました。

また、ESGに対する意識も高まり、例えばハコベルで「CO2排出量の算出」の可視化をしたり、ラクスルも「付け合せ」のロジックの改良で紙の無駄の削減に取り組む等、まさにデジタルテクノロジーによって環境問題にアドレスし始めたことは、まだまだ序章ではあると思いますが、非常に意義のある成果だと思っています。

自分がこの1年取り組んだこと

自分はと言うと、組織開発の領域では「エンジニア組織のグローバル化」と、事業開発の領域では「新規事業の立ち上げ」に集中しておりました。

エンジニア組織のグローバル化

年初からインドの開発チームに自分もPO兼フロントエンドエンジニアとして加わり、新規事業に向けた初期のエンジニアリングチームの立ち上げを行いました。アジャイル開発やソフトウェアに関する共通言語は問題なく伝わりますが、細かいニュアンスや仕事のスタンス・価値観など日本とは大分異なるダイナミクスがあり、戸惑うところはありつつも、インドの拠点長との連携や日本のメンバーの理解も得ながら前進し、今においては日本と変わらず、かなりスムーズに開発が進むようになったと思います。

少し話を巻き戻すと、RAKSULのグローバル化は2019年10月から本格始動しました。実は、同月に開かれた取締役会にて初参加いただいた社外取締役の宮内さんから開口一番に「なぜRAKSULはエンジニア組織のグローバル化に取り組まないのか?」という問いが立てられたことがきっかけでした。

エンジニア組織のグローバル化の必要性を、宮内さんがいの一番で指摘されたことも衝撃でしたが、年々激化するエンジニア採用の構造的な問題をなんとかしないといけない、というのは自分が持っていた大きな経営課題でもあり、宮内さんの問いは実は大きな後押しにもなりました。

気づけばエンジニアの外国籍メンバー比率はわずか2年で10%程度から36%にまで拡大し、現在RAKSULにある20開発チーム中、普段から英語で仕事をするチームおよそ半分。ベトナムもこの2年間で9名から31名に組織が拡張され、当初はサーバーサイドエンジニアが中心でしたが、今はフロントエンド・PdM、加えてシニアメンバーの参画も進み、この勢いでいくと2~3年内には全体の6割以上が外国籍メンバーになると思います。

もちろん国外拠点への投資だけなく、国内においてのグローバル化も重要なポイントとして捉えています。上述の通りミックスチームをより成立させるため、RAKSULでは専任の英語教師が2名体制で英語力の強化を担っており、よくエンジニアがひぃひぃ言いながら業務時間外で英語の宿題を間に合わせているのをみかけます(笑)。その甲斐もあってか、半年スパンでみると「え?急にこんなフレーズが会話に出てきたぞ?」とか、英語がほとんど話せなかったメンバーが妙に自信を持ってHack Weekのプレゼンを英語でしたり、Slackでバンバン仕事を進めているのを見ると「英語がネックじゃない、意思がネックなんだ!」と改めて思わされます。TVCM事業のノバセルでは日本語を話せないメンバーの国内採用さえも、チャレンジとして積極推進していたり、国内のグローバル化もすごいスピードで変化しています。

先日、マネーフォワードCTOの中出さんがエンジニアブログで「エンジニア組織の英語化」を積極的に推進されており「世界中からエンジニアの採用をすすめるという方針は不可逆」「英語で仕事ができるようになることは、将来の選択の幅を広げ、市場価値をあげる機会につながる」といった考えを拝見しましたが、この考えには自分も大賛成で、日本のソフトウェアエンジニアがグローバル環境で働けることにはキャリア上非常に意味のあることで、その後のオプションを広げる大きなきっかけになると思います。

このトレンドから読み取れるように今後日本のソフトウェアエンジニアにも大きなシフトを迫られていると思います。今思うと、楽天がとった戦略は10年のスケールで見れば大正解で、今や半数を超えるエンジニアが外国籍メンバーで構成されていることは、経営上非常に大きな優位性になっていることは言うまでもありません。もはやその戦略は異端の発想ではなく、マネーフォワードはじめ、ビジョナルやメルカリもエンジニア組織のグローバル化を進めており、日本のテック企業のエンジニア組織のグローバル化は戦略上必要不可欠だと言えるでしょう。

また今後グローバルに向けたサービス・プロダクトが生まれるのも、まさにここがベースになると見据えており、ますますこの戦略の重要性はRAKSULにとっても大きなものになると考えます。

新規事業の立ち上げ

もう一つ大きく関わっていたのは「ジョーシス」の新規事業の立ち上げでした。9月に発表された「ITデバイス & SaaS 統合管理プラットフォーム」と称したこのサービス、これまで印刷・物流・TVCMといった産業に対してバーティカルな路線とはまた少し違ったターゲットに向けたプロダクトとなります。

DX・リモート時代のIT管理者の業務はますます複雑化し、デバイスやSaaSアカウントの管理工数も増大。あるリサーチによると海外企業一社あたりが利用しているSaaSは平均80にも及ぶと言われており、その波は日本でも着実に押し寄せてきています。

そんな中、ありがたいことに、ローンチ当初からかなり反響があり、カスタマーサポートに寄せられる機能開発要望や改善要望の声をほぼ毎日いただきながら、急ピッチでブラッシュアップしております。

つい先日は「シャドーID(隠れID)」の管理機能をリリースしました。様々なアプリケーションから集積したデータから「従業員台帳では認識されていないID」を可視化することによって、不要になったアカウントの削除を行うことができます。我々の調査では、一社あたり平均100個ほどのシャドーIDが知らずにSaaSアプリケーションに蓄積され大半の企業がこの実体を認識していないのではと考えております。コストダウンはもちろん、管理の対象から外れているアカウントを認識することで事前にセキュリティーリスクの低減にアドレスできると考えております。

(「おっと、こんなところにもShadow IDが隠れてやがる!」の図)

先日21日の開示で新規事業である「ジョーシス」のスピンオフについて報告しましたが、今後さらに当プロダクトへの投資をスピードアップして行えるように事業基盤・組織基盤を強化していく予定です。

今回のアドベントカレンダーでは「ジョーシス」のインドチームからもいくつか日印のコラボレーションに関する記事が投稿されています。日本とインド開発チームのコラボレーションから生まれたこのサービスは、チームワークを成り立たせるための数々の工夫をこらしてきたことはもちろん、まさに構想からローンチまで一貫して「クラウド上」で実現され、数年まえでは想像することさえできなかった特異な環境で生まれた事業です。

余談ですが、この一年、クラウド上で新たな事業や組織が0から作られるのを目の当たりにしていると、ふと「カイシャの実体って一体何なのか?」と不思議に思うことがあります。(もちろん会計上の「主体」としてというのは別としてですが)

本質的には「会社」に限らず、あらゆる組織は、所詮人間の作り出した「概念上の定義」でありもっと言ってみれば「虚構」に過ぎない。我々はぼんやりと認識している実世界に境界線を引いて名前をつけることで、かろうじて仮想的に実体があるように認識しているだけなんですが、こうもクラウド上でプロダクトもシステムも組織も事業もすべてクラウド上で作れるようになると「会社の実体」は、ますます「人のつながり」とそれを可能にする「仕組み」や「共通の価値観」が本質なのだと感じます。

マネジメント体制・組織文化・新卒採用の強化

他に取り組んでいたこととしては、マネジメント体制・組織文化・新卒採用。これだけ組織が大きくなるとマネジメントや組織文化を強化したり、新卒採用を加速させることで組織の新陳代謝を一定促すことも重要。

マネジメント体制については、数年前からEM(エンジニアマネージャー)の職種をオフィシャルに設置し、新たに任命したマネジメントメンバーのトレーニングなどに力を入れてきました。HoE・VPoE・EMを中心にメンバーの評価はもちろん、コンディション把握、モチベーション管理、昇格計画、機会設計などに責務をもち、その結果エンジニア組織は低い退職率を維持しており、直近のアンケートでは8割以上のメンバーが現在のチームやポジションに満足しているとの回答もあり、今後もこの状態をしっかり維持したいと思います。

組織文化についてはChief Culture Officerのメンバーと連携し、今年で7回目になるRAKSUL Vision Day(全社合宿)や、社内の組織文化の明文化、「Slack Etiquette」などに取り組み、よりグローバル、より多様化する組織の中でメンバーが最大成果が出せる環境を作れるような活動を行ってきました。RAKSULは元々「メンバーの自律性を信じ、マイクロマネージはしない組織文化」である反面、「放任主義」「サバイバーシップ主義」と言われる側面もあり、来年に向けてはそういった習慣を変化するような方向に会社全体を向けたいと思っております。

新卒採用は2017年新卒から組織的に取り組むようになり、早くも今年で7期目。採用チームにかなり力を発揮していただき、今年は昨年の倍にあたる採用計画を立て、年初から採用イベント、サマーインターンの実施等を推進していただいています。はじめは自分・人事中心に2・3名くらいではじめた新卒採用活動ですが、ここ数年でRAKSULの新卒メンバーがどんどん力をつけて活躍する姿をみると、自然と他のメンバーも採用活動に積極的に参加してくれるようになり、ありがたい限りです。

他には、RAKSULエンジニアの恒例イベント Hack Week 2021の開催や、地味にコーポレート・ブランディングの一貫で新ロゴのコンセプトムービーの音楽を作曲したり、「経営と技術」という視点で日経のXTECHの連載記事を書いたり、Shippioに技術顧問として参画させていただいたりと、ランダムに色々な活動してました。

最後に:2022年に取り組むこと・・・あるいはどういう姿勢で臨むか

基本的には2022年に取り組むことは、今年の延長と考えていますが、全社グローバル化、RAKSUL INDIAの組織開発、ジョーシスのプロダクト開発、テック組織としてのカルチャーへの働きかけ、このあたりは個人的にも興味関心の強い領域ですし、会社のこれからの進展に大きく期待がかかる領域なので力を弱めずにどんどん前に進みたいと思っています。

また、グローバル化・他事業化する組織において各組織の遠心力はますます高まると思うので、横軸の部分ではやはりエンジニアの知の共有、組織としての流動性は色々な手段で保ちたいと思います。いよいよRAKSULも時価総額2,000億規模が見える中、エンジニア組織の意識も変化は必至です。

すこし話は変わりますが、先日金融アナリストの知り合いとそれとなく情報交換をしたときに「世界全体の経済的な豊かさが平均的に増したのは良いかもしれないが、CO2の排出による温暖化はもちろん、急成長する各国の急激な動物性タンパク質の消費の増加により、無茶な飼育が生態系へに与えるダメージや衛生面への影響、加えて物流や人の行き来がグローバル化する世の中でこれだけ活発になると、果たしてコロナが収束しただの、オミクロン株が減少したところで、ウイルスに対する脅威はマクロで見れば根本的には何も変わっていないよね」ーそんな話をしてました。

思い返すとSARSやMARS、鳥インフルなどはここ四半世紀の出来事。もちろん人類の長い歴史にあった世界の人口の1/4の命を奪うようなパンデミックのレベルからすれば、規模は全然小さいものの、「脅威」としては最大規模。たとえコロナが去ってもパンデミックに対する警戒は緩められないし、「ニューノーマル」という言葉もだいぶ聞き慣れてしまってさほど反応しなくなってしまいましたが、結局のところ「パンデミックの脅威」は時間の問題でそれを前提に行動するしか無く、コロナを理由に変化が停滞したり、課題を先延ばしにしても無駄に時間が経過するんだろうな、と思ってます。

そういう意味ではグローバル拡張は踏み切ったかと思ったら昨年コロナ到来で二の足を踏みそうになりましたが、いま思えば無理矢理にでも推進してよかったと思っています。

「以前のような状態」なんていつまで経っても来ないだろうし、もはや「前の世界は幻想だ」という覚悟で、新しい環境の中で違うやり方を考えたり、創意工夫をするほうがよっぽど建設的だし面白いと思います。2022年はそんな姿勢で色々な環境変化に戸惑いながらも、楽しく過ごしたいですね!

何だが最後はとりとめのない話になってしまいましたが、皆さん今年も1年お疲れさまでした&Happy New Year!

<今回RAKSUL Tech Blogにてアドベントカレンダーを実施するにあたり、企画・運営・執筆を担当していただいた皆さんありがとうございました!そして読んでいただいた皆さんにも感謝!>

CTO。作曲→映像→Flash Movie→ウェブアニメーション制作→動的コンテンツ生成を経て突如システム開発に目覚める。最近の技術的なチャレンジ:react-native / redux / immutable.js

2021.12.25 #Culture
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Final Entry: Looking back the year 2021

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