2017.11.22
スピードチェック入稿リリース秘話
ラクスルの数少ない女子エンジニアの加藤です。
今回は、8月末にリリースしたスピードチェック入稿のリリースまでのプロセスを書いてみたいと思います。
スピードチェック入稿とは
そもそも、チラシや名刺などの印刷をインターネットで注文したことのない方もいらっしゃるかもしれません。
ラクスルは、印刷物を扱うECサイトです。通常のECサイトと違って、商品を選んで配送先と決済方法を選んでもらうだけでは注文は完結しません。お客様が印刷するデータを入稿するという印刷ならではのステップがあります。
また、印刷用データはラクスルで印刷に適しているかどうかチェックして、適していない場合、お客様は再度入稿する必要があります。
これまで、ラクスルではデータが印刷に適しているかどうか、オペレーターが一つ一つチェックし、場合によっては微修正をしていました。人手でやっているため、印刷データが確定して実際に印刷工程に進む準備ができるまでに1日以上かかってしまうこともあり、急いで印刷物が欲しいというお客様の要望になかなか答えられていませんでした。
そこで、サイトを訪問している最中にその場でチェック結果がわかるようなシステムを開発しようということになりました。それが「スピードチェック入稿」です。

プロジェクトの始まり
入社してしばらく経ちそろそろ会社に慣れてきたかと思っていた4月末、プロジェクトのミーティングに呼ばれました。データチェックを自動化する理由が共有されて、成功させるぞという強い意志が感じられましたが、参加メンバーのドメイン知識が十分ではない状況で、議論も少し混乱気味。私個人としては不安がありつつも、とにかくやってみようという気持ちでミーティングを終えました。
プロジェクトは、ラクスルで提供しているデータチェック業務理解から始まりました。実際に、オペレーターの方が作業している所をメンバーみんなで見させてもらう時間もとりました。
・どんなデータが入稿されるのか
・どんなデータのどんな点を確認しているのか
・どんな修正を行っているのか
・どんなメールをお客様に送っているのか
最初はこのような基本的なポイントを一つ一つ確認していき、データチェックのドメイン知識の理解を深めていきました。
デザインと設計のプロセス
スピードチェック入稿のデザインチームはデザインスプリントを実施。毎スプリントごとにお客様からのフィードバックを受けてデザインが進みました。
使う人はどんな印象を受けるのか、どんなところで操作に詰まったり、戸惑ったりするのか。私自身はデザインチームではありませんでしたが、週ごとのデザインとフィードバックのシェアや、お客様へのインタビューの同行を通じで、ユーザ理解を深めることもできました。
ビジネスチームによるデータチェック要件の詳細化とデザインと同時並行で、システムの設計も始めました。
システムは、すぐにWebで時間のかかる処理を実装するときのオーソドックスな構成に決定。
・フロント:データチェック用のAPIを呼び出し結果を描画
・データチェック用のAPI: フロントから受け取ったリクエストを受けてジョブをキューイング
・バックエンドジョブ:データチェックやPDF変換を実施

デザインスプリントが進んでいる間に、最小単位で連携して動くものを実装していきました。
初めて一緒に仕事をするメンバーで構成されたチームでしたが、REST APIなど共通した設計スタイルがあると設計検討も早く進むのを改めて感じました。
自走チームの開発スタイル
メンバーが各作業を進める中、試行錯誤したのはコミュニケーションとタスク管理でした。
ビジネスメンバー、デザイナー、エンジニアそれぞれに違うバックグラウンドを持ち、比較的自由に仕事をするメンバーが揃ったため、仕事自体はすごく速く進むのですが、みんなが協力しないと一つ一つの機能が動きません。
どんな風にコミュニケーションするか、どんな風にタスクの状況を共有したり管理したりするか。朝会や毎週の振り返りで、率直に意見やアイデアを言い合って、改善して進めました。

以前のブログ記事では、開発スプリントやペアプロの紹介もありましたが、今回はペアプロは実施せず、また開発スプリントは回しつつも運用は比較的ゆるめ。それぞれのメンバーのやりやすさを優先させつつ、アクションが滞らないようにコミュニケーションをとって乗り切りました。
やっぱり何か起こる結合とテスト
いくつかのコンポーネントが連携するシステムの開発では、結合とテストの段階になって様々な考慮漏れが判明してスケジュールが遅れるというのが開発でよくある光景ではないでしょうか。
今回のプロジェクトでは、かなり前段階で様々なケースのテストデータを準備したりエラーケースの検討をしてきましたし、結合して動かすこともその都度行なっていましたが、それでもやはり本格的な結合やテストの段階で色々な問題が起こりました。
例えば、初めは入稿している原稿の縦横の方向を自動判別しようとしていましたが、チラシでは判定できるけれども、名刺では判定できないケースがあるということが間際になってわかったりしました。
もちろん前倒して考慮できればベストだと思いますが、初めての要素があるプロジェクトではなかなかそうもいかないものです。このプロジェクトでは見つかった時にその都度、チームで学習しながら、一つ一つアクションを決めていきました。
リリース!
風邪でチームメンバーが次々と休んでスケジュールが遅れ気味になったり、間際で解決が危ぶまれる課題が発生したりと、様々なことがありましたが、8月末に当初の予定通りリリース。日程的にタイトな状況になっていても、みんなでランチに行ったりとチームの雰囲気を保ち、コミュニケーションを密に取れるようにしていたのも、逆に予定通りのリリースに不可欠だったかもしれません。
リリース後も、スピードチェック入稿の状況をチームでモニタリングしながらの対応や改善、対象商品の追加が続き、多くのお客様に使われるサービスに育ってきました。フェーズが移り変わるとチームの状況ややることも変わっていきますが、これからもビジネスメンバー・デザイナー・エンジニアの垣根を超えて、お客様の体験がよくなっていくような開発を続けていきたいと思います。
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